【無線LANのアーキテクチャ(自立型AP、集中管理型AP、WLCポートの概念)について】



このHPは無線LANのアーキテクチャ(自立型AP、集中管理型AP、WLCポートの概念)についてまとめたものです。



1-1 自律型APと集中管理型AP

無線LANのAPには、「自律型AP」「集中管理型AP」の2種類がある。





1-2 自律型AP

自律型APでは、自律型AP自体の設定作業を行う。
APが単独で動作するため、それぞれの機器に個別で設定・管理を行う必要がある。設置するAPの台数が多くなると、管理負担が増大する。

















1-3 集中管理型AP

集中管理型APは、大規模環境向けの管理ソリューション
「無線LANコントローラー(WLC)」「Lightweight AP(集中管理型用AP)」の2つのコンポーネントで構成されている。Lightweight AP(集中管理型AP)は、AP自体に直接設定を行うのではなく、無線LANコントローラー(WLC)を介して一括で管理・設定を行う。

中規模から大規模のオフィスの無線LAN環境一般的に採用されている。
集中管理型はAPの台数が多くなっても、WLCを通じて一元的に運用管理することができるため、運用管理が煩雑になることは無い。
設定・ファームウェアのアップデートも全てWLC経由で行うことができる。
また、WLCで管理するAPには、それぞれ個別のSSIDを割り当てることが可能で、1Fのフロアと5Fのフロアに設置しているAPに異なるSSIDを割り当てておけばAPごとに異なる運用ルールを適用することができる。














1-4  スプリットMACアーキテクチャ

スプリットMACアーキテクチャとは、WLCと集中管理型APを使用した無線LAN構成において、IEEE802.11における処理を分離する概念。IEEEE802.11の処理を、リアルタイム性のある処理とリアルタイム性の無い分ける機能。
通信の暗号化等のリアルタイム性が高い処理は集中管理型APで行い、認証などのリアルタイム性が低い処理はWLCで行う。




集中管理型の無線LANでは、全てのデータトラフィックはWLCと集中管理型AP間を経由して送信される。両機器間の通信には「CAPWAP」が使用される。










1-5 WLCのポートの概念

WLCでは、ルータやスイッチと異なり、物理ポート・論理ポート共に様々な役割を持つポートが存在する。各ポートの役割を確認する。


◆物理ポートの役割

物理ポートは、実際にWLCに存在するポートで、上図の様に「ディストリビューションシステムポート」、「サービスポート」、「コンソールポート」、「冗長ポート」が存在する。


■ディストリビューションシステムポート
スイッチとWLCを接続するための物理ポート。通常、IEEEE802.1Qトランクリンクでスイッチと接続する。
スイッチやAPとのデータ転送を行うダイナミックインターフェイスや、WLCを操作・制御する管理インターフェイスといった論理ポートと接続する。
また「リンクアグリゲーション(LAG)」を使用することで複数のポートを1つにバンドルし、帯域を向上させることもできる。搭載するポート数はモデルによって異なる。

■サービスポート
WLCを制御するための管理専用ポート。このポートを使用することで、管理用のトラフィックから完全に分離することができる。
この様な管理方法を「アウトオブバンド(out-of-band)」という。
通常のデータとは異なるネットワーク上でデータの送受信を行うため、アウトオブ管理を行うポートとなる。

■コンソールポート
WLCにコンソール接続し、CLI操作を行うためのポート。
初期設定を行う際などに使用される。

■冗長ポート
2台のWLCの冗長ポートをLANケーブルで接続することで冗長化することができる。





◆論理ポートの役割

論理ポートは、スイッチの内部にある論理的なポート。「ダイナミックインターフェイス」、「バーチャルインターフェイス」、「管理インターフェイス」等が存在する。


■ダイナミックインターフェイス
無線LANクライアントのトラフィックを扱うインターフェイスそれぞれ動的インターフェイスごとにVLANを割り当てる。
APに割り当てるSSIDやVLANとの紐付けを行うポートで、SSIDに紐付けられたVLANのデータの送受信を行う。ダイナミックインターフェイスにはIPアドレスを設定する。
1つのディストリビューションシステムポートには、複数の動的インターフェイスが割り当て可能でデータトラフィックを完全に分離できる。

■APマネージャインターフェイス
このインターフェイスに割り当てたIPアドレスは、集中管理型APがクライアントフレームをCAPWAPでカプセル化して転送する際の宛先IPアドレスとして使用される。

■バーチャルインターフェイス
WLCのモビリティ機能で使用されるインターフェイス。
モビリティ機能とは、複数のWLCでグループを構成し、クライアント情報等を共有する機能。

■サービスポートインターフェイス
サービスポートと結びつけられるインターフェイスサービスポートを介した通信で使用される。

■管理インターフェイス(Managementインターフィス)
WLCの管理用ポート。WLCの管理や集中管理型APの制御に使用される。