【VLSMと経路集約】


このHPはVLSMと経路集約についてまとめたものです。



1-1 VLSM(可変長サブネットマスク) 

VLSM(可変長サブネットマスク)とは、個々のサブネットごとに異なるマスク長のサブネットマスクを適用できる 機能の事。また、一度サブネット化されているアドレスをさらにサブネット化できるので、アドレスの使用効率を上げること ができる。

またVLSMにより、ホスト台数を最大限に有効活用しながら、階層化アドレス体系のネット ワークを構築することができる。


【VLSM適用前のネットワーク例】

例えば下図の様にA拠点のLANには200台のホストが接続されており、B拠点とC拠点に接続されていたとする。B拠点、C拠点のLANにはホストが50台接続されているとする。ここでは、クラスBのプライベートアドレス172.16.0.0/16をサブネット化して/24でIPアドレスの設定をする。ここでサブネットアドレスの割り当てが必要になるネットワークには、次の5種類がある。

●A拠点のネットワーク
●B拠点のネットワーク
●C拠点のネットワーク
●WAN接続(A-B拠点ルータ間サブネット)のネットワーク
●WAN接続(A-C拠点ルータ間サブネット)のネットワーク





各ネットワークで必要とされるIPアドレスの数と利用されないIPアドレスの数は以下の表のようになる。



VLSMを使わないと、全てのネットワークのサブネットマスクを、この最大のホストアドレスをサポートする/24に統一しなければならない。そうすると、B拠点、C拠点では、IPアドレスは50個あればよいが、254個も割り当ててしまう。また、WAN接続(A-B拠点ルータ間サブネット)とWAN接続(A-C拠点ルータ間サブネット)も、IPアドレスは2個あればよいが、254個も割り当ててしまう。



【VLSM適用後のネットワーク例】

VLSMを使えば、各サブネットで必要になるIPアドレスの数に基づいたサブネットマスクを利用することができる。




各ネットワークで必要とされるIPアドレスの数と利用されないIPアドレスの数は以下の表のようになる。



上の表を見ると、VLSMを使うといかに無駄なくIPアドレスを利用できるかということが明らかになる。



1-2 経路集約(ルートサマリー、スーパーネッティング)

サブネットワークの数が多くなると 、ルーティングテーブルに登録するネットワークの数が多くなる。その 為、次の様な影響が考えられる。

★メモリの消費

★ルーティングテーブルの検索時間の増加、CPUの消 費

★ルーティングアップデート時のトラフィッ ク量

経路集約(ルートサマリー、スーパー ネッティング)とは、第1オクテットの先頭から続くビットパ ターンが同じで連続する複数のネットワークアドレスを、その共通ビッ ト部分に基づいてひとつのネットワークアドレスにまとめること。

経路集約を行う事によっ て、ルーティングテーブルの検索処理の効率が向上し、 ルーティングテーブルに使用されるメモリの使用量を減らす 事が出来る。

経路集約を効 率よく行うためには、連続したアドレス空間の割り当てが必要 になる。連続 したアドレス空間のネットワークアドレスをビットに変換をし、 共通するビットの部分までサブネットマスク を移動させることによって複数のネットワークアドレスを1つのエントリ にまとめる事が出来る。

次の図で、経路集約のメリットを 考えてみる。





上図では、ルータAの左側には 192.168.0.0/24、192.168.1.0/24、192.168.2.0/24、192.168.3.0/24サブネットが存在している。 そのため、ルータAのルーティングテーブルには、4個のサブネットが学習されている。

ルータAはルータBにアップデート送信する際、4個のサブネットを送る代わりに、192.168.0.0/22という1つのネットワークだけを送っている。

そのため、ルータB及びルータCはたった1つの経路情報をルーティングテーブルに学習するだけで、4個のサブネットのルーティング情報を登録したことになる。