【ルーティングについて】


このHPはルーティングの基礎知識についてまとめたもので す。


1-1 ルーティングテーブル

宛先のホストまでのパケットを送るため、全てのホストやルータはルーティングテーブル(経路制御表)と呼ばれる情報を持っている。異なるネットワークにパケットを届ける場合は、ルータは受信したIPパケットのIPヘッダに含まれる「宛先(デスティネーション)IPアドレス」を使用して、そのパケットを転送する経路を選択・決定する。

ルータは宛先(デスティネーション)IPアドレスを調べた後、転送先を決定する為に自分が持っているルーティングテーブルの情報を参照し,適切なインターフェイスからそのパケットを送信する。



ルーティングテーブルを構成する基本となる情報は

●目的のネットワーク

●経由するルータ

の2つだが経路が複数ある場合は、どちらの経路を選択するかの情報を持っている。これらのルーティングテーブルの構成要素は次の4つにまとめられる。

◆宛先ネットワークアドレス
IPデータグラムの送信先のネットワークアドレス

◆メトリック
あるネットワークまでの経路が複数存在する場合に、最適な経路を判断するための数値。メトリックの値の小さい経路が最適な経路(ベストパス)となる。メトリックは、ルーティングで使用するプロトコルの種類によって値となる情報が異なる。 ※但し、最適経路(ベストパス)の選択基準の優先順位は以下になります。
[ロンゲストマッチ>アドミニストレイティブディスタンス値(AD値)>メトリック]

◆ネクストホップアドレス
宛先ネットワークアドレスに到着するために、次に経由するルータのIPアドレス。

◆ネットワークインターフェイス
ネクストホップアドレスが接続しているネットワークに、直接接続しているネットワークインターフェイス



下の図でルーティングテーブルを使ってホストAがホストBと通信する手順は次の様になる。





①ホストBは192.168.3.0/24のネットワークにいるので、ホストAはまず、ルーティングテーブルを見て、ルーター2にパケットを送信しようとする。

②ルータ2はホストAと同じネットワークにあるので、ホストAはARPによってIPアドレスを手がかりに、ルータ2のMACアドレスを調べる。

③ホストAはルータ2にパケット送信すると、後はルータ2に任せる。ルータ2も自分の持つルーティングテーブルを参照して、次のルータにパケットを送信する。ルータ2がホストBに パケットを転送するときは、前述の4つの情報を使う。

④IPパケットのデスティネーションアドレスがルーティングテーブルのデスティネーション ネットワークアドレスに一致するかどうかを確認する。複数の経路があれば、メトリック値が小さいほうを経路として選択する。
上図の場合は、目的のネットワークにたどりつくまでの経由するルータの数を「メトリック」としている。
※ここでは、メトリックを最適経路(ベストパス)の選択基準にしています。

⑤ホストBまでの経路はルータ3を経由するものとルータ1、ルータ4、ルータ5を経由する2通りあるが、メトリックの小さいルータ3側の 経路を選択する。
そして、選択した経路に直接接続しているネットワークインターフェイスからIPパケットを送り出し、NextHopゲートウェ イであるルータ3に任せる。後は、IPのレベルでは関与しない。

⑥IPパケットの搬送は、この様な処理を繰り返して、最後に直接送ることができるところまでルータによって中継されていく。また経由するルータの数をホップ数という。





■最適経路(ベストパス)としての優先順位

ルーティングの最適経路(ベストパス)として選択される優先順位は以下の通り。

【1】ロンゲストマッチ

【2】アドミニストレイティブディスタンス値(AD値)

【3】メトリック




■ロンゲストマッチ

あるパケットの送信先IPアドレスに対して、ルーティングテーブル上に一致する経路が複数存在する場合は、最もPrefix長が長いものが選択される。
これにより、ルーティングテーブルからできるだけ詳しい経路情報が優先される。これを「ロンゲストマッチ」と呼ぶ。

以下の図で、宛先IPアドレス「192.168.2.10」に当てはまる経路は2つあるが、この2つの経路の中から、最も一致しているビット数が多い「192.168.2.0/28」経路が選択され、パケットはネクストホップである「192.168.0.2」へと転送される。








■アドミニストレイティブディスタンス(AD)

アドミニストレイティブディスタンスとは、Cisco独自のパラメータ。Ciscoルータは1つのルート情報に対して複数の情報源があった場合に、最も信頼度の高いプロトコルからの情報源だけをルーティングテーブルに登録する。この信頼性を決定するための管理値。

Ciscoルータは異なるルーティングプロトコルで同じネットワークのルート情報を2つ以上受け取った場合、アドミニストレイティブディスタンス値で優先順位を決定する。
アドミニストレイティブディスタンス値は、「0~255」の範囲で、値が小さいほど信頼性が高くなる。

例えば以下の図で、「ルータA」が宛先ネットワークのルート情報を「RIP」、「IGRP」から受け取った場合、1つのルート情報に対して、情報源が3つ(RIP、IGRP、スタティック)ある
ことになる。

「ルータA」はアドミニストレイティブディスタンスによって、情報源の信頼性を決定する。

下図では、アドミニストレイティブディスタンス値が最も小さい「スタティックルート」のルート情報が、ルーティングテーブルに登録される。
その結果、「ルータA」が宛先ネットワークあてのパケットを受信した場合、パケットは「ルータA」⇒「ルータD」⇒「ルータE」を経由して転送される。




アドミニストレイティブディスタンス値のデフォルト値は以下の通り。






■メトリック
メトリックとは、あるネットワークまでの経路が複数存在する場合に、最適な経路を判断するための数値。メトリックの値の小さい経路が最適経路(ベストパス)となる。
このメトリックを求めるために使用する基準は、ルーティングプロトコルごとに異なっている。以下に代表的なルーティングプロトコルのメトリックを示す。





メトリック値にホップカウントを使用した時の例は、以下の通り。
「ルータA」から「192.168.10.0」ネットワークに到達する経路は2通りある。

この場合、経由するルータ数の方が最適経路とされ、その値がメトリック値として使用されて、ルーティングテーブルに学習される。








1-2 スタティックルーティングとダイナミックルーティング

【スタティックルーティング】

スタティックルーティングとは、ネットワーク管理者が経路情報を各ルータ内に手 動で設定する手法でこの経路情報は基本的にルーティング・テーブルより消えることがない。

スタティック・ルーティングの長所は、管理される経路情報が基本的にルーティング・テーブルより削除されることがないため、安定したネットワーク到達性の提供が可能なこと。また、経路情報を手動で設定するので情報交換のためのCPU処理やトラフィックも発生しない。



また、スタティックルーティングの短所は以下の通り

●管理負荷が大きくなる

●障害発生時に迂回ルートに切り替えられない



◆スタティックルートの作成

スタティックルートの設定は、【ip route】コマンド入力する。引数に【宛先ネットワークアドレス】【サブネットマスク】 【ネクストホップアドレス(インターフェイス)】で指定する。

【スタティックルートの作成】
ip route【宛先ネットワークアドレス】【サブネットマスク】【ネクストホップアドレス(インターフェイス)】

※インタフェースを指定できるのは、ポイントツーポイント接続の場合のみ



【ダイナミックルーティング】

ダイナミックルーティングとは、ルータ同士がルーティングプロトコルを使用し、自分が知っている経路情報をやり取りして、自動的にルーティングテーブルを作成・変更する方法。比較的大きなネットワークで経路情報数が多くなると,静的に経路を設定するスタティック・ルーティングでは運用管理が困難になるため,ダイナミック・ルーティングを使用する。




う回経路/代替経路を持つネットワークでは,ダイナミック・ルーティングを使って,経路の障害発生時に自動的に代替経路を選択できる。






ダイナミックルーティングのデメリットは以下の通り

●セキュリティが強固ではない

●ネットワークに負荷をかける








1-3 デフォルトルートの設定

デフォルトルートとは受信したパケットが、ルーティングテーブルのどのエントリとも一致しない場合に、あらかじめ決めておいたルートを利用してパケットを送信する方法。すべての経路を指し示す特殊経路で、「0.0.0.0/0」で表す。


ルータはパケットのIPアドレスとルーティングテーブルを照合して、一致するエントリがないとパケットを転送することができずにパケットを破棄するが、デフォルトルートの設定がされていると、デフォルトルートの転送先(ネクストホップアドレス)にパケットを中継する。



デフォルトルートの使用を有効にするには、【ip classless】コマンドを入力する。【ip route 0.0.0.0 0.0.0.0】コマンド もしくは【ip default-network】コマンドを入力し、引数に【ネクストホップアドレス】を指定する。

【デフォルトルートの設定】
(config)#ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 【ネクストホップアドレス】

デフォルトルートの使用を有効にするには、【ip classless】コマンドを入力する。Cisco IOS 11.3以降を搭載しているCiscoルータでは、デフォルトで、このコマンドが、設定されている。Cisco IOS 11.3より古いIOSを使用している場合は、このコマンドを設定しないとクラスレスルーティングやデフォルトルートを使うことができない。

【デフォルトルートの有効化】
(config)#ip classless