【Ciscoルーターの内部構成要素】


このHPはCiscoルータの内部構成要素についてまとめたものです。


1-1メモリ の構造



Ciscoルーターの内部メモリは次の4つに分けることが出来 ます。

● RAM(DRAM)

● NVRAM

● Flash

● ROM





● RAM(DRAM)
電源を切ったり、再起動すると内容が消えてしまうメモリ。RAM(DRAM)はアクセス速度が非常に高速。RAMの中には、次のプログラムやデータがある。

★動作中IOS(CiscoルーターのOS)

★running-config(ルーター上で実際に動作している設定ファイル)。

★ルーティングテーブル

★各種キャッシュ

★バッファ(ルーターが受信したパケットを一時的に格納するために使われるメモリ領域。


● NVRAM
不揮発性のメモリ。電源を切っても内容は消去されない。NVRAMには 、半永久的に保存する必要があるファイルを保存する。NVRAMの中には次のようなデータが保存されている。

★ startup-config(ルーターの起動時に使われる設定ファイル)

★コンフィ グレーションレジスタ(ルーターが起動する際に制御に使われるレジスタ。デフォルトは 0x2102)。


● Flash
不揮発性のメモリ。IOSファイルの保存に使う。このIOSが起動時に RAMに展開され、ルーターが動作する。何度でも、データの消去・書き込みが可能。複数のIOSイメージを保存しておいたり、必要に応じてバージョンアップしたりする事が可能。次のコマンドで、Flashの中身を確認することができる。

show flash


● ROM
不揮発性のメモリ。ルーター起動時のハードウェアテスト・障害の解析 で使うプログラムが保存。

★POST( 電源投入直後に使われる自己診断プログラム)

★ブートス トラップ(POSTの終了後に使われるプログラム)

★ROMモ ニタ(IOSのリカバリが出来るプログラム)

★RxBoot (IOSの必要最小限の機能だけを持っているプログラム)






1-2ルータ ー起動の仕組み

ルーター起動の順序は次のとおり。

【1】電源投 入時にPOSTを実行。インターフェイスの認識やハードウェアのチェックを行う。

【2】POST が正常に完了後、ブートストラップを実行。コンフィギュレーションレジスタを参照し、起動 するIOSを探し出す。

【3】IOSや 設定ファイルの展開方法を決定。

【4】Flash の中のIOSを検索し、RAMに展開する。

【5】起動し たIOSは、startup-configを探し出し、RAMにrunning-configとして展開。工場出荷時 など、startup-configがない場合はセットアップモードで起動。








1-3セット アップモード

工場出荷時等では、startup-configがないため、セッ トアップモードで起動する。また、セットアップモードで設定できるものは、「ルーター名」「 パスワード」「ルーティングプロトコル」「インターフェース」等の基本設定だけ。詳細な設定を行うには、IOSのコマンドを入力。





1-4 コンフィグレーションレジスタ

コンフィグレーションレジスタはIOSの起動やファイルの展開などの制御に使用するための16進数で4桁の値。コンフィグレーションレジスタ値は、デフォルトで0x2102。先頭の「Ox」はこの後に続く数字が16進数であることを示す。





この「2102」の末尾(4ケタ目)に表現される値には次の様なものがある。




この末尾の部分はルータの起動時にCisco IOSを読み込んでくる場所を指定する部分で、ブートフィールドと言う。

ルータは起動時にコンフィグレーションレジスタのブートフィールドを参照する。コンフィグレーションレジスタは通常は0x2102だが、手動で変更して、その他の起動モードでルータを起動することもできる。0x2102以外に設定される値には次の様なものがある。

◆ROMモニタの起動(0x2100)

コンフィグレーションレジスタ値の最後の4ビットが「0000」の場合、ルータはIOSを起動せずに、ROMモニタを起動する。ROMモニタで起動した状態を「ROMモニタモード」という。

◆RxBootの起動(0x2101)

コンフィグレーションレジスタ値の最後の4ビットが「0001」の場合、ルータはIOSを起動せずにRxBoot(MiniIOS)を起動する。Ciscoルータの中には、RxBoot(MiniIOS)を持たないタイプのルータもあり、その場合はROMモニタモードで起動する。

◆IOSの起動(0x2102〜0x210F)

コンフィグレーションレジスタ値の最後の4ビットが「0010」〜「1111」の場合、ルータはデフォルトでFlashのIOSを起動する。しかし、startup−config内に【boot system】コマンドがある場合は、その指示に従いルータを起動する。


●【ルータの起動プロセス】







1-5 起動IOSの選択

Flashに複数のIOSがある場合やTFTPサーバーのIOSを起動する場合、【boot system】コマンドを使うと、起動する場所とファイル名を指定できる。boot systemはグローバルコンフィグレーションモードで使い、引数に【起動場所】【ファイル名】を指定する。

【起動するIOSを選択】

(config)♯boot system【IOSの格納場所】【起動するIOSファイル名】

★ROM内に格納されているRxBOOT(MiniIOS)を選択する場合

(config)♯boot system rom


◆Flashに複数のIOSが有る場合

Flashに複数のIOSがある場合、通常ルータは1つ目のIOSを起動する。2つ目以降のIOSを起動させる場合には、グローバルコンフィグレーションモードで【boot system flash】コマンドを入力し、引数に【IOSファイル名】を指定する。

★【FlashからIOSを選択】

(config)♯boot system flash【起動するIOSファイル名】


◆TFTPサーバー上のIOSを起動する場合

TFTPサーバー上のIOSをルータで起動する場合は、グローバルコンフィグレーションモードで【boot systemt tftp】コマンドを入力し、引数に【IOSファイル名】【TFTPサーバーのIPアドレス】を指定する。

★【TFTPサーバーから起動する場合】

(config)♯boot system tftp【起動するIOSファイル名】【TFTPサーバーのIPアドレス】

boot systemコマンド設定後、running-configからstartup-configに設定ファイルを保存する必要がある。保存後、【reload】コマンドでルーターを再起動することで指定したIOSを起動する。