【コリジョンドメインとブロードキャストドメインについて】
このHPはコリジョンドメインとブロードキャストドメインについてまとめたものです。
1-1 コリジョンドメインとブロードキャストドメイン
■ハブの特徴
「ハブ」はOSI参照モデルの物理層で動作し、ケーブル上で流れてきた電気信号の増幅・中継を行う。
ハブは、データの中身を参照する機能を持たないため、下図のホストAから受信したデータをどのポートから転送すれば送信先に到達できるのか判断できない。
そこで、全てのポートからデータを送信するため、接続している全ての機器にデータが転送される。このデータの転送先であるホストDは受信したデータが自分宛てのMACアドレスを持っているため、データを処理する。
一方、他のホストは受信したデータが自分宛てではないので、データを破棄する。

■ハブのコリジョンドメイン
ハブを使用したイーサネットでは、複数のホストが同時にデータを送信すると、それらのデータが衝突するという問題が発生する。
このようなデータ衝突を「コリジョン」という。
また、コリジョンが発生する範囲をコリジョンドメインという。
ハブを使用したイーサネット環境では、ハブとそれぞれに接続されたすべてのホストが一つのコリジョンドメインとなる。

■ハブのブロードキャストドメイン
「ブロードキャストドメイン」とは、あるホストから送信されたブロードキャストが到達する範囲をいう。
下図のホストAが送信したブロードキャストのデータを受信した場合、ハブは自分に接続されているすべてのホストにデータを転送する。
この時、全てのホストが、受信したブロードキャストのデータを処理する。
つまり、ハブを使用したイーサネット環境では、ハブとそれに接続された全てのホストが一つのブロードキャストドメインになる。

■スイッチのコリジョンドメイン
スイッチは、ホストから受信したデータをバッファに保存し、保存した順にデータを処理する。従って、スイッチ内部ではコリジョンが発生しない。
そのため、コリジョンドメインは、各ポートで終端される。
つまりスイッチを使用したイーサネット環境では、一つ一つのポートの先がコリジョンドメインになる。
なお、ハブが形成するコリジョンドメインを「シェアードコリジョンドメイン」、
スイッチが形成するコリジョンドメインは「プライベートコリジョンドメイン」という。

■スイッチのブロードキャストドメイン
ブロードキャストアドレスは、全てのホストを示すアドレスのため、MACアドレステーブルには登録されない。
下図のスイッチが、ホストAからブロードキャストのデータを受信した場合、MACアドレステーブルにブロードキャストアドレスが登録されないため、全てのホストへこのデータを転送する。
つまり、スイッチを使用したイーサネット環境では、スイッチとそれに接続された全てのホストが一つのブロードキャストドメインになる。

■ルータのコリジョンドメイン
ルータは、ホストから受信したデータをバッファに保存し、保存した順にデータを処理する。従って、ルーター内部ではコリジョンは発生しないため、
コリジョンドメインは各インターフェイスで終端される。つまり、一つ一つのインターフェイスの先がコリジョンドメインになる。

■ルータのブロードキャストドメイン
ルータは、ホストからブロードキャストのデータを受信した場合、そのデータを他のインターフェイスには転送しない。
つまり、ルータを使用したイーサネット環境では、一つ一つのインターフェイスの先がブロードキャストドメインになる。

1-2 CSMA/CD方式
CSMA/CDは、初期のイーサネットLANで使用されていたアクセス制御方式。現在はCSMA/CD通信ではなく全二重通信が主流になっている。CSMA/CDの動作は、CS(キャリア検知)、MA(多重アクセス)、CD(衝突検出)の3つから構成されている。

■キャリア検知(CS)
「キャリア検知(CS」とは、ケーブル上に他のデータが流れていないかを検知するする機能。以下の例の様に、送信したいデータを持つホストは、実際にデータを送信する前に、他のホストがデータを流していないかを確認する。
下図で、ホストAからホストDへの通信を行うとする。ホストAは、ケーブル上に他のデータが流れていないかを確認する。この処理がキャリア検知(CS)。
ホストAはケーブルに信号がないことを確認すると、フレームの送信を開始する。ケーブルに信号(キャリア)が検出された場合は、信号がなくなるまで待ってから送信する。

■多重アクセス(MA)
「多重アクセス」とは、イーサネット上にデータが流れていない場合、全てのホストに送信権限が与えられること。
下図でホストCからBへの通信が行われるとする。Cはキャリア検知し、電気信号が検出されないと、フレームの送信を開始する。この状態を「多重アクセス(MA)」という。

■コリジョン検出(CD)
「コリジョン検出(CD)」とは、同時に複数のホストからデータが送信された場合、コリジョンが起きたことを検出する機能。
下図で、ホストDからホストBへデータを送信しようとし、フレーム送信中のホストDが壊れた信号を受信すると、B宛てのデータ送信を中止して、「ジャム信号」と呼ばれる特別な信号を送信し始める。
これによって、他のノードにコリジョンの発生を伝える。この処理が「コリジョン検出(CD)」。

■バックオフアルゴリズム
コリジョン検出(CD)を行ったホストは、ランダムな時間待機してから再送信する。この時ホストは、「バックオフアルゴリズム」という仕組みを使用して、再送信までに待機する時間を算出する。なお、再送は最大で最大16回まで行われる。