1-1 パケット
フィルタ
不適切なパケット
を破棄し、適切なパケットだけを転送
するフィルタリング機能をパケットフィルタという。
1-2 アクセスリストの
用途
Ciscoルーターでは
、パケットフィルタの条件を指定する場合、
「アクセスリスト」を利用。アクセスリストとは、パ
ケットの「条件」、パケットに対する「許可」「拒否
」を
記述した条件文のリスト。
1-3 アクセスリストの
動作
ルーターはパケッ
トを受信すると、アクセスリストの条件文の1
行目から順番に、受信したパケットと
比較し、処理を決定する。また、アクセス
リストの条件に一致しないパケットはルーター内で拒
否される。アクセスリストの最後の行に「全て拒否す
る」という条件文が自動的に適用されている(暗黙の
DENY)為。
★【アクセスリストの適用】
アクセスリストを
作成した後、ルーターのどのインターフェース
にアクセスリストを適用するかを
決める必要がある。インターフェイスに適用する際に
入力パケットをチェックするのか
、出力パケットをチェックするのかを指定
する。
●アクセスリストINの方向
●アクセスリストOUTの方向
1-4 アクセスリストの作成方
法 アクセスリストを
作成するには、グローバルコンフィグレーションモー
ドで{acess-list}コマンドを入力し、引数に<番号
><処理><条件>を指定する。 【標準アクセス
リストの設定例】 (config)♯access-list 1
permit 192.168.0.0 (config)♯access-list 1
deny 192.168.30.0 1-5 アクセスリストの番号
アクセスリストは
、複数作成できるため、それぞれの条件文を識別する
には「アクセスリスト番号」を使う。また、アクセス
リストには、次のような種類があり、アクセスリスト
番号の範囲や指定できる条件が異なる。
★標準IPアクセスリスト
アクセスリスト番
号の「1−99」を使った場合、IOSは「標準IPアクセ
スリスト」として認識する。標準IPアクセスリストは
条件文の指定に《送信元IPアドレス》
を使用する。 ★拡張IPアクセスリスト
アクセスリスト番
号の「100−199」を使った場合、IOSは「拡張IP
アクセスリスト」として認識する。拡張IPアクセスリ
ストは条件文の指定に ●プロトコル番号 ●送信元IPアドレ
ス ●送信先IPアドレ
ス ●ポート番号
を
使用する。 ※アクセスリストを設定する際、一般的に
次の位置に設定するのが推奨されている。 ●標準IPアクセスリストは、
できるだけ宛先に近いところ(ルーター/インターフェイス)でアウトバウンドに設定する。 ●拡張IPアクセスリストは、
できるだけ送信元に近いところ(ルーター/インターフェイス)でインバウンドに
設定する。 1-6 ワイルドカードマスクの
必要性 「
ワイルドカードマスク」は、条件に指定したIPアドレ
スとパケットのIPアドレスの比較範囲を指定し、フィ
ルタリングの対象となるパケットを定義するもの。例
えばアクセスリストに次の様な条件文を作成する。
●「100.1.0.0」ネットワークから送信されたパケ
ットを拒否⇒(access-list 1 deny 100.1.0.0)は
「100.1.0.0」ネットワークから送信されたパケットを
拒否するための条件文。 ●「100.1.1.0」ネットワークから送信されたパケ
ットを許可⇒(access-list 1 permit 100.1.1.0)は「
100.1.1.0」ネットワークから送信されたパケットを許
可するための条件文。 ただし、1つ目の条件文において「100.1.0.0」という
条件の「100.1」を比較範囲とするか、
「100.1.0」までを比較範囲とするか
によって結果が異なる。今回は、「100.1.0」というア
ドレスで始まるパケットだけをフィルタリングの対象
にする。しかし送信元のネットワークアドレスを条件
としただけでは、どこ
までがその比較対照であるか明示できない。
そこで、比較範囲を指定する
ためにワイルドカードが必要になる。
1-7 ワイルドカードマスクの
算出方法
ワイルドカードマスクを算出する方法は、次の通り。
@条件として指定されているIPアドレスのうち、比較範囲とな
る部分のbitを「0」で表現する。 前の例の様に、IP
アドレスが「100.1.0」で始まるものを条件の対象とする場合の
ワイルドカードマスクは、「0.0.0.255」にな
る。 ●【複数のサブネットワークの指定】
特定の範囲のサブネットワ
ークに対して同じ条件を指定する場合、ワイルドカード
を使用すれば、条件を1行に集約できる。 1-8 キーワードへの置き換え
アクセスリストは、管理者
が設定しやすいように、条件の一部をキーワードに置き換えて省略
できる。 ●【アドレスの指定】
条件文の条件部
分のアドレス部が「0.0.0.0」で、ワイルドカ
ードマスクが「255.255.255.255」の場合、その部
分を「any」というキーワードに置
き換えられる。 ●【プロトコル名の指定】
特定のプロトコ
ルで使うプロトコル番号やポート番号
の代わりにプロトコルの名前を指定する
こともできる。
アク
セスリスト番号
種類
指定できる条件
1〜9
9
標
準IPアクセスリスト
送
信元アドレス
100
〜199
拡
張アクセスリスト
プ
ロトコル番号、送信元IPアドレス、送信先IPアドレス
、ポート番号
A比較範囲とならない部分のbitを「1」で表現する。
B求められた2進数の値を、1オクテットごとに10進数で表記す
る。
例え
ば、192.168.1.0から192.168.7.0の7つのサブネットワークに対
して同じ条件を作成するのであれば、共通の21ビットだけをチェ
ックすればよいことになる。
この場合、ワイルドカードマスクの前に指定するサブネットアドレスは、比較範囲
内であればどのアドレスでもかまわない。
また、ワイルドカードマスクが「0.0.0.0」
の場合、その部分を「host」というキーワード
に置き換えられる。
「TCP」や「FTP」などのように名称で指定するのが一般的。